華劇公演「せをはやみ(ハニー)」#3
【あらすじ】
第六天魔王の策略により、戦国時代の第六天魔王の封印も解かれてしまった。
竹中半兵衛達は第六天魔王を倒すことができるのか!?
【登場人物】
竹中半兵衛・瀬早重春:滑川龍(CV柿原徹也)
安藤春菜・はるな:神楽千秋(CV進藤尚美)
織田信長・第六天魔王:衣川祥子(CV津田美波)
黒田官兵衛:古畑和慶(CV三宅健太)
羽柴秀吉:岨野小町(CV加藤英美里)
徳川家康:成瀬修子(CV洲崎綾)
黒田長政:浅葱陣(CV山下大輝)
荒木村重・先生:白石舞伎(CV小松渚)
■シーン13 融合
第六天魔王
「平和ボケした時代の憎悪とはなんとチンケなもの…
来るが良い、第六天魔王村重よ!この第六天魔王信長と融合するのだ!!」
#場転
はるな
「…まずい。第六天魔王の波動がより強大に…」
安藤春菜
「…え?どういう事?」
はるな
「!!!」
安藤春菜
「ど…どうかしたの?」
はるな
「第六天魔王が!周囲を…破壊…した…」
安藤春菜
「早く!早く行かなきゃ!」
はるな
「いけません!今は…耐えるのです、月読…」
安藤春菜
「そ!そんなこと!出来る訳ないじゃない!早く!助けなきゃ!!」
はるな
「うふふ…」
安藤春菜
「こんな時に…なに笑っているのよ!」
はるな
「先の世では、あなたの様に私はのびのびとやっているのですね…
好きなことを言い、好きな事ができるのですね…
月読、今のあなたが行ったところで、何も出来ません!
今は、封印の術を一刻も早く覚えるのです!」
安藤春菜
「…そうね…分かった…」
はるな
「…私と手を合わせ…思念を融合するのです…」
■シーン14 定め
はるな
「封印の術の伝授が終わりました」
竹中半兵衛
「そっか…おつかれさん」
はるな
「…」
竹中半兵衛
「おれ…死ぬらしい…」
はるな
「…そうですか…」
竹中半兵衛
「なんだ、聞いたのか…みんな、おしゃべりだな…」
はるな
「すみません。月読と思念を合わせた時、未来で起きたことも何もかも
見えてしまいました」
竹中半兵衛
「おれ、数百年後も、やっぱお前の事、想ってたろ?」
はるな
「ええ…想って下さっていました。とても…」
竹中半兵衛
「言葉なんて所詮言葉だ…分かったろ…」
はるな
「半兵衛様はどうしてそんなに言葉を嫌うのですか?」
竹中半兵衛
「俺の名前の由来、話した事あったよな?」
はるな
「はい…お父様が付けられた…お名前ですよね」
竹中半兵衛
「半人前の半兵衛…。最低だぜ。フツー親がそんな名前付けるか?
ガキの頃は親父を恨みまくってた…
だから、いつも親父に嫌な顔してたもんさ…けど…病気が治ってさ
俺が初陣を飾れるって事が分かったとき、親父はさ
俺の気持ちなんか無視して家中のみんなに、半兵衛は頭が良いだけではなく
武働きも出来る立派な武士でございますよー
…なんて言いふらしてやがんだ…
俺を半人前だと決め付けた親父が…
親父が…とんでもなく嬉しい笑顔で…みんなに…俺のこと自慢してやがった…
れを見ちまった…」
はるな
「そう…だったのですか…
けれど半兵衛様は初陣を見事に飾られたではありませんか…」
竹中半兵衛
「死んだんだ…親父…」
はるな
「えっ?」
竹中半兵衛
「はるなと出会った、翌日…初陣の時……あっさり殺されちまった、俺を庇って…
俺の目の前で…ありがとうも、さよならの言葉も言えずに…
言葉なんて…所詮、言葉でいーじゃねーか!どうせ言えないならよ!
思っているだけで…許してくれても…いーじゃねーか…
ごほっ!ごほっ!ごほっ…
俺は生きてやる…死ぬまで…生きてやる…病気に負けてたまるかよ…」
はるな
「半兵衛様!半兵衛様!!」
竹中半兵衛
「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の…ごほっ!ごほっ…
このうたが…好きだって、言ってたな…」
竹中半兵衛
「キライなんだよ……大嫌いなんだよ…」
はるな
「え…嫌い、だったのですか…」
竹中半兵衛
「ばーか。あの歌の意味しらねーのかよ…ごほっ!ごほっ!
別れんのが前提で作られてんじゃねーかよ…
そんなもん…言えるかよ…大事な…お前に…」
はるな
「…私は、私は…」
竹中半兵衛
「外に出るか…」
はるな
「え?」
竹中半兵衛
「どうせ、お前の事だから俺が来るまで外に出るの待ってたんだろ?」
はるな
「あ…いいえ…抑えきれなくて出てしまいました…」
竹中半兵衛
「やろー、ここは嘘でも頷いておけよな…」
はるな
「ふふふ…」
竹中半兵衛
「やっぱお前の笑顔が一番だ…」
■シーン15 降魔
羽柴秀吉
「朝ですよー!朝ですよー!」
安藤春菜
「あれ?居ない…居ない!半兵衛が居ないっ!」
黒田官兵衛
「なにっ!」
羽柴秀吉
「…実は…
竹中半兵衛殿より書置きが…
『病人は無理しても良いが、怪我人は無理するな…
先に行って準備してる』
…だって!!えええっ!」
#場転
竹中半兵衛
「くそっ…格好…付けすぎたかな…早く…行かなければ…!?」
徳川家康
「ぜぇ…ぜぇ…なんということだ…有岡城に急がねば!」
竹中半兵衛
「あ?家康…」
竹中半兵衛
「おい…お前…なんで有岡城に行くんだ…」
徳川家康
「民を救うためです」
竹中半兵衛
「はははっ!最高だぜ!お前!いつか天下取れんぞ…」
徳川家康
「なんと豪気な!」
竹中半兵衛
「豪気なのはおめーの方だって…ちょっとだけ…肩の荷が下りたぜ…」
徳川家康
「もしや半兵衛殿…一刻でも早く領民を救うために…」
竹中半兵衛
「へっ…そんなんじゃねーよ…
それより…このお守りはな…どうやら不思議な力があるらしい…
俺が第六天魔王を引き付けている間…
こん中の力を使って、みんなを助けてやってくれ…」
徳川家康
「なんと豪気な!」
竹中半兵衛
「よし!それだ!それが合言葉だ!領民すべての安全を確かめたら…
俺にそれを言いに来い!」
徳川家康
「…なんと…素敵な…」
#場転
第六天魔王
「来よったか!竹中半兵衛!」
黒田長政
「半兵衛さんー!来ちゃだめー!」
竹中半兵衛
「待ってろよー、長政!かるーく、助け出してやるからな」
第六天魔王
「なめられたものだ…」
竹中半兵衛
「それより、てめぇ…この瓦礫はなんだ!何をしやがった!」
第六天魔王
「有岡城を吹っ飛ばしたのだ!」
竹中半兵衛
「てめぇ!!この世にはな、やって良い事と悪い事があるんだ!
てめーはこの瓦礫の中に、いくつの暮らしがあったと思っているんだ!」
第六天魔王
「知らぬこと」
竹中半兵衛
「なんだとぉ!!後の世で
天才軍師と言われる俺様がはっきり言っといてやる!
俺たちは、生きているだけで最高なんだ!
それはな!人は皆、あやふやであれ、なんであれ、
その先に光が見えている限り、進み続けるいきもんだからだ!
どれだけ多くの犠牲を出しても、多くの涙をのみ込んで
生きている事を嬉しいと思い、悔しい事も、苦しい事も
人生だと思いながら未来へ進むんだ!その希望こそが!
俺たちを未来に繋いでくれるもんなんだ!」
第六天魔王
「だからどうしたと言うのだ?愚かな人間よ!
お前らの世で、平和な世の中など1度として無かったではないか!
常に争い!奪い!踏みにじる!
我がそれを壊すか、自らの手で壊すかそれだけではないか!」
竹中半兵衛
「やーーーーーっぱり!!!てめーはやっぱりゆるさねー!
ゆるさねー!ゆるさねー!封印なんて生ぬるい!
俺が!俺がぶっ飛ばしてやる!」
第六天魔王
「おろかな!我が刃を喰らうが良い!」
竹中半兵衛
「きやがれ!第六天魔王!!…と見せかけて…よっと…
へんっ、てめぇと、まともにやりあう気はねーよっ…!」
第六天魔王
「なんだと?!」
竹中半兵衛
「来いっ!長政!!」
黒田長政
「半兵衛さん!!!」
竹中半兵衛
「なんとか、助けられたな…もう捕まるんじゃねーぞ…」
徳川家康
「なんと豪気な!」
竹中半兵衛
「家康っ!待ってたぜ!!!!ごほっごほっ!
…長政を安全な場所に…連れてけ!」
徳川家康
「なんと豪気な…」
竹中半兵衛
「ははははは!てめーはほんと…それしかいえねー…のな!行けよ!」
徳川家康
「畏まりました」
黒田官兵衛
「はんべぇ!!俺を怪我人扱いしやがってぇ!!お前は大馬鹿野郎だっ!!!」
竹中半兵衛
「ん?うわっ!もう来たのか?!
敵を欺くには味方から…だ!」
黒田官兵衛
「意味のない事で欺いてどうする!」
竹中半兵衛
「へへっ!そうでもねーぜ…」
第六天魔王
「こ!これは!け!結界!!!」
竹中半兵衛
「油断したな!第六天魔王!
俺が明月の結界が貼れるとは思ってもなかっただろう!」
第六天魔王
「こんな結界など!」
羽柴秀吉
「日輪の使者がここに居る事を忘れておるな…」
第六天魔王
「しかし…明月の使者がおらぬ!
結界はまだ不完全なはずだ…」
竹中半兵衛
「だから俺が!こうして命を張ってんだろうがっ!さぁ!やれっ!」
第六天魔王
「お!愚かなっ!み、自らの命と引き換えに…
お!お前は何を、何を考えているのだ…!
圧倒的な力が!この世に秩序をもたらす!それこそが真実だ!」
竹中半兵衛
「何が真実だ!俺の命ひとつで…俺の想いひとつで
この戦に満ちた世の中が変わるのであれば…安いものだ!」
安藤春菜
「これは…夢で見たあの光景…」
竹中半兵衛
「…はるな…早く…封印を…俺の命が…尽きる前に…こいつを…
はるなぁ!やれぇぇぇ!」
はるな
「半兵衛さま…私…」
安藤春菜
「天照の巫女!また同じ過ちを繰り返すつもり?!!」
はるな
「そう…でした…ありがとう、月読…目が覚めました……盟主天照よ!」
安藤春菜
「盟主月読よ!」
第六天魔王
「やめろっ!それは、我を永久に封印する…」
はるな
「天より出でて、我に従え…」
第六天魔王
「こうなれば!半兵衛!
我が最期の力を持ってお前の心まで握りつぶしてくれるわ!」
黒田官兵衛
「させるか!未来を学んだのは俺も同じだ!」
第六天魔王
「な!なにぃ!これは…軍配…」
はるな&安藤春菜
「出でよ!天岩戸よ!第六天魔王を軍配に封印し
時の果てに消し去りたまえ!」
第六天魔王
「ぐぉおおおおお!!!!!!な!なんだ!これは…しかし、あの時と同じ…
半兵衛よ!また時を経て我は…」
竹中半兵衛
「うっせー!タコ!てめーの話なんざ聞きたくねぇ!消えろっ!」
第六天魔王
「わ…我は…人の世の欲望…いくら我が封印されようとも
この世に欲がある限り…我を滅する事など…
ぐ、ああああああああああああ…」
■シーン16 眠り
羽柴秀吉
「半兵衛殿!」
黒田官兵衛
「半兵衛!」
はるな
「…はんべえ…さま…ううっ…ううっ…」
竹中半兵衛
「…何をピーピー泣いているんだ、はるな…」
はるな
「半兵衛様!」
黒田官兵衛
「半兵衛!」
羽柴秀吉
「半兵衛殿!」
安藤春菜
「半兵衛!」
黒田官兵衛
「そう言えば…半兵衛は一緒に封印されるはずだったのでは…」
安藤春菜
「そう言えば…そうね…あ!」
羽柴秀吉
「ど!どうしたのでござるか!」
安藤春菜
「言ってない!名前!言ってないわ!」
羽柴秀吉
「えっ…?」
安藤春菜
「あなた…あの時、半兵衛の名前を言っていたのよ…!」
羽柴秀吉
「術の途中で名前を叫べば当然…言われたものは封印されてしまう…」
竹中半兵衛
「ふ…ふざけた…話だぜ…」
はるな
「半兵衛様!半兵衛様!!!ごめんなさい!私が強ければ!ごめんなさい…」
竹中半兵衛
「おーおー。良く泣くオンナだこと…もう、目を開けてられない…」
はるな
「いやっ!半兵衛様!半兵衛様!」
竹中半兵衛
「瀬をはやみ 月に照らさる 土岐空(ときそら)の…
割れても末に 逢わむとぞ思ふ…」
はるな
「それって…まさか…辞世の…嫌です!嫌です!!!半兵衛様!半兵衛様!」
竹中半兵衛
「お前、転生するらしいからさ…」
はるな
「はい」
竹中半兵衛
「その…なんど転生しても…俺たちは…向き合って…ケンカして…
愛し合うんだから…な…忘れんじゃねーぞ…そろそろ…もう…眠らせてくれ…」
はるな
「いやっ!いやっ!半兵衛様!」
黒田官兵衛
「半兵衛!」
羽柴秀吉
「半兵衛殿!」
竹中半兵衛
「…」
はるな
「いやーっ!半兵衛様!半兵衛様!!!!」
竹中半兵衛
「……」
羽柴秀吉
「はんべえどの!うわーん、うわーん…」
黒田官兵衛
「はんべえ!はんべえ!はんべぇー!!」
竹中半兵衛
「……だぁぁぁぁぁっ!うっせぇ!うっせぇ!うっせぇ!!!!!!
俺は昨日夜通し歩いてここまで来ているんだ!黙って!寝かせろっ!!」
はるな
「半兵衛さま!てっきり死んだのかと!」
竹中半兵衛
「勝手に人をころすなっ!つーの!」
安藤春菜
「はんべえ!生きてたのね!はんべえ!はんべえ!」
はるな
「半兵衛さま、はんべえさまー!!!」
■シーン17 エピローグ
安藤春菜
「はんべ…あれ?ゆ?夢…?」
先生
「安藤さん!何を寝言を言っているの。とっくに休み時間は終わっているわよ」
安藤春菜
「え?あっ。は、はいっ」
先生
「突然だけど、今日から転校生が来ることになったの。みんな仲良くする様にね」
安藤春菜
「…転校生?」
先生
「瀬早くん!こっちに来て!」
瀬早重春
「はい」
先生
「それでは、自己紹介を」
瀬早重春
「瀬早重春と言います。今日から、この天馬学園にお世話になる事になりました
よろしくお願いします」
安藤春菜
「…あの子は…」
第六天魔王
「全く、下らぬ世の中だ…」
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