華劇「プチ・プランス」前編
【あらすじ】
飛行機でサハラ砂漠に不時着し、
故障してしまった飛行機を直していたぼく。
すると、少し変わった服を着た少年がぼくに声をかけてきた。
【登場人物】
王子:常盤薫(CV代永翼)
ぼく:松浦彼方(CV羽多野渉)
ヘビ:松浦彼方(CV羽多野渉)
バラ:松浦彼方(CV羽多野渉)、常盤薫(CV代永翼)
キツネ:松浦彼方(CV羽多野渉)
王子
「あの! お願いします!
…僕のために羊の絵を描いて!」
ぼく
「?!」
ぼく
「飛行機でサハラ砂漠に不時着し、
故障してしまった飛行機を直していたぼくは、突然の声に驚いた。
声のした方に目を向けると、そこには、少し変わった服を着た少年がいた。」
王子
「ねぇ、羊だよ、羊! 羊の絵を描いてほしいんだ!」
ぼく
「絵心に自信はなかったが、ぼくは言われるままに羊の絵を描いた。
けど、その少年はぼくの描く羊が気に入らないらしく、何度も書き直させられ、
少しイライラしたぼくは、穴の開いた箱を描いて少年に渡した。」
ぼく
「ほら、キミの求めている羊は、その箱の中にいるよ。
これでいいだろう?(少し投げやりな感じに)」
王子
「そう、これだよ! 僕はこんな羊が欲しかったんだ!ありがとう!」
ぼく
「これが、ぼくと彼との出会いだった。」
王子
「僕の星ってね、すごく小さいんだ。
ほんとに小さくて、どのくらいかって言うと、
そうだな、ほんの家くらいの大きさかな。」
ぼく
「飛行機の修理をしながら少年のおしゃべりを聞くうちに、
ぼくは、その少年がどこかの小さな星の王子さまだということを知った。」
王子
「僕の星には、火山が3つあって、毎日僕が煤を払ってあげるんだ。
それとね、バオバブの芽が生えてくるから、こいつはやっかいなんだよ。
すぐに見つけて抜かないと、根っこがすぐに伸びてしまってね、
星を貫いて破壊しちゃうんだ。
あとはね、よその星からやってきた種から咲いた、
きれいな花が一輪咲いているんだ。
ねぇ、キミがくれた羊は、花を食べちゃうのかな?」
ぼく
「そうだね。食べちゃうかもね。(そっけない感じに)」
王子
「棘のある花でも食べちゃうの?」
ぼく
「棘なんて、何の役にも立たないよ、あんなもの、ただ、いじわるしたいだけさ。」
王子
「…そんなことないよ!(ちょっとムキになって)」
ぼく
「彼は突然ムッとした口調になった。」
王子
「花の棘が何の役にも立たないなんてこと、あるわけないよ!
花は弱いんだ! だから、棘があれば人を脅かせると思ってる!
自分を守りたいだけなんだよ!(怒っている感じに)」
ぼく
「ごめん、そんなつもりで言ったんじゃないよ。
それにぼくは今、大事な仕事をしてるんだ。」
王子
「あんた! 全然わかってない!全然わかってないよ!
花は何百万年も前から棘をつけていて、羊は何百万年も前から花を食べてる。
なのに、花が何の役にも立たない棘をつけるのがどうしてなのか、
それを知ろうとすることが、大事じゃないって言うの?
花と羊の戦いが、どうでもいいことだって思うの?
僕の知ってる花が、ある朝、羊に食べられてなくなってしまうかもしれなくても、
(次第に泣いて言葉につまる)
あんたはどうでもいいことだって言うの?…ひっく。ひっく。(泣く)」
ぼく
「王子はそれ以上何も言わなくなってしまった。」
ぼく
「ごめんよ、大丈夫だから。
キミにあげた羊には、口輪を描いてあげるよ。
そうすれば、羊は花を食べられないからね…」
王子
「(泣き続けている)」
ぼく
「ぼくも、それ以上王子にどんな言葉をかけてあげたらいいのか分からなかった。
その後、ぼくは王子からその花についての色々な話を聞いた。
その花は、とてもきれいだけど、ちょっとわがままだってこと。
王子は一生懸命その花の言うことを聞いて、精一杯のお世話をしてあげたこと。
だけど、だんだん疲れてしまって、気持ちがすれ違ってしまったこと。
それで、王子は色んな星を見て回る旅に出たこと。」
王子
「地球はね、7番目の星なんだ!
6番目に行った星の、地理学者が教えてくれたんだよ!
地球って、すごく大きい星だよね。びっくりしちゃったよ。」
王子
「最初に地球に来たとき、周りに何もなくてさ。
どうしようって途方に暮れてたら、ヘビに会ったんだ。」
ぼく
「王子は僕に話し始めた。」
ヘビ
「こんばんは!」
王子
「こんばんは! ここは、どこ? 地球じゃないの?
僕はどこへ来てしまったの?」
ヘビ
「地球だよ。アンタ、何しにここへ来たんだ?」
王子
「僕の花と、ちょっと喧嘩しちゃって… ここは何もなくてさみしいね。
ねぇ、人間はどこにいるの? 教えて!」
ヘビ
「人間のところへ行ったって、どのみちさみしいさ。
いつか自分の星が恋しくなって、帰りたくなったら、またここへおいで。
星へ帰るのを手伝ってあげられるよ。」
王子
「キミ、変なやつだなぁ。」
へび
「自分ではそんなつもり無いけどね。
アンタがそう思うなら、そうなのかもね。」
王子
「キミ、やっぱり変だよ。
けど、ありがとう。帰りたくなったら会いに来るよ。」
ぼく
「ヘビと別れた王子は、人間を探して歩き、
その途中、彼の星の火山よりもはるかに高い山に登り、
彼の花にそっくりの花がたくさん咲いているのに出会った。」
王子
「こんにちは! キミたちは誰?」
バラ
「私たちはバラよ!(声をそろえて)」
王子
「ああ、僕の花は、自分は宇宙に自分たったひとつだって言ってたけど、そんなことなかったんだ。
僕は、宇宙にたったひとつの花が自分の星にあるってことを自慢に思っていた。
だけど、ほんとは、こんなにありきたりなバラの花がひとつ咲いていただけだったんだ。
それに、僕の星の3つの火山だって、僕の膝くらいまでしかない。
僕は王子だなんて言っても、たいしたことなかったんだ。(さめざめと泣く)」
キツネ
「こんにちは!(少し離れたところから)」
王子
「…こんにちは。(声のした方を見ながら)
?!…誰もいない、さっきたしかに声が聞こえたのに。」
キツネ
「こっちだよ! りんごの木の下!(少し離れたところから)」
王子
「キミは誰なの?」
キツネ
「オレはキツネ。どうしたの? 泣いてるのかい?」
王子
「キツネ、僕と一緒に遊んでよ! 僕、さみしいんだ。」
キツネ
「それは無理だな、キミとは遊べないよ。
だってオレたち、「仲良し」じゃないからな。
俺は仲良しとしか遊ばない「主義」だからな。(得意げに)」
王子
「そっか…。「仲良し」ってどうなるの?」
キツネ
「「特別」になるってことだな。」
王子
「「特別」に…なる?」
キツネ
「キミにとってオレは、他にたくさんいるキツネの中の一匹でしかない。
オレにとってもキミは、他にたくさんいる少年の一人でしかない。
キミはオレを必要としていないし、オレもキミを必要としていない。
でも、キミにとってオレが「特別」になると、
オレにとってもキミが「特別」になる。
そうなると、オレたちはお互いが世界でたったひとつの存在になる。」
王子
「それが、「仲良し」…」
キツネ
「そうさ!…オレと「仲良し」なってみるか?」
王子
「どうすればいいの?」
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