華劇「今日の猫 明日の猫」前編
【あらすじ】
身ぎれいな明日の猫と、少し汚れている今日の猫。
二人の猫の会話は取り留めもなく続いていく…
【登場人物】
今日の猫:桟木樹子(CV後藤沙緒里)
明日の猫:常盤薫(CV代永翼)
ナレーション:桟木樹子(CV後藤沙緒里)
ミツバチ:常盤薫(CV代永翼)
クスの樹:常盤薫(CV代永翼)
夕陽:常盤薫(CV代永翼)
ナレーション
「今日の猫は明日の猫。
明日の猫は綺麗に着飾っていて、今日の猫は汚れていました。」
今日の猫
「君はどうしてきれいなんだい」
ナレーション
「明日の猫は言いました。」
明日の猫
「それはすごく素敵なことがあったからだよ」
今日の猫
「それはどんな出来事だったんだい?」
明日の猫
「言葉では語れない事さ」
今日の猫
「言葉では語れない事ってなんだい?」
明日の猫
「それは秘密さ」
今日の猫
「意地悪だなぁ」
明日の猫
「君も明日が来れば綺麗になるかもしれないじゃないか。
今日の猫
「ふーん。そういうものかな?
気になるなぁ」
ナレーション
「二人は長々と話し込んでいましたが、
明日の猫がどうしてきれいになったのかを教えてくれません。」
明日の猫
「ところで君は、宝石って見たことあるかい?」
今日の猫
「それはなんだい?」
明日の猫
「綺麗な綺麗なものさ。
これがあればみんなに注目されるんだよ!」
今日の猫
「そうなんだ。けれどもどうして注目されたいのだい?」
明日の猫
「そう言えばそうだね。僕はどうして注目されたいのだろうか?」
ナレーション
「明日の猫は、答えました。
今日の猫は笑いました。」
今日の猫
「そうだろう?僕らは気ままに暮らしたいだけだし、
誰かに注目されたいだなんて思いもよらないよ」
明日の猫
「確かにそうだね」
ナレーション
「明日の猫は答えました。」
明日の猫
「ところで、君は、アイスクリームって食べたことがあるかい?」
ナレーション
「明日の猫は言いました。」
今日の猫
「いいや、ないよ。それは食べれるのかい?」
明日の猫
「食べれるんだけど、食べないと溶けて消えてしまうものなんだ」
今日の猫
「不思議なものがあるんだね」
ナレーション
「今日の猫は言いました。」
明日の猫
「君は食べたくないのかい?」
今日の猫
「消えてしまうものを食べても、どうしようもないじゃないか」
明日の猫
「確かにそうだね」
今日の猫
「食べてもお腹の中で消えてしまうなら意味がないね」
ナレーション
「明日の猫は言いました。」
明日の猫
「ところで、今日の猫はどうしてこんなに汚れているんだい?」
今日の猫
「冒険をしたからさ」
明日の猫
「ぼうけん???」
今日の猫
「そうさ!
僕は今日、散歩しているときに、見つけた綺麗なお花に見とれていたんだ。
そしたらミツバチが、向こうにはたくさん花が咲いているよって
僕に教えてくれたんだ」
ミツバチ
「一緒に行くかい?」
今日の猫
「とミツバチに言われて、僕はミツバチと一緒に旅に出たんだ」
明日の猫
「そうなんだ?うらやましいよ!僕も冒険に出たいなぁ」
ナレーション
「明日の猫は、羨ましそうに言いました。
今日の猫は話を続けました。」
今日の猫
「ミツバチが誘う方に進んでいくと、大きな樹があって、
僕に話しかけてきたんだ」
クスの樹
「君はどこにいくんだい?」
今日の猫
「大きなクスの樹が僕に聞いてきたので、僕は答えた。
そう言えば、どこに行こうとしてたのかな???」
ナレーション
「気が付けば、ミツバチは居なくなってました。」
明日の猫
「おい、待ってくれよ。ミツバチがいないなら、
もうたくさんお花のある場所にたどり着けないじゃないか」
今日の猫
「そう言われたらそうだね。僕も気が付かなかった」
明日の猫
「お終いだ!君は冒険の目的を失ってしまったんじゃないか!」
今日の猫
「そんなことはないさ。
だって、クスの樹が、僕に言うんだ」
クスの樹
「君は消えないもの見たことがあるかい?」
今日の猫
「消えないもの?なんてあるの?」
クスの樹
「君はそれを探しているのだと思ったよ」
今日の猫
「消えないもの・・・」
クスの樹
「私は決して消えてしまわないものそれを探しているのだが・・・
何千年も動けないままここで立っているだけなのだよ」
ナレーション
「クスの樹がそういうので、つい今日の猫は言いました。」
今日の猫
「じゃ、僕が消えないものを見つけてきてあげるよ。
見つけたらまたくるね!」
ナレーション
「そこで、明日の猫が口を開きました。」
明日の猫
「君は途方もないものを見つけようとしているね!
何千年もそれを探しているクスの樹でも見つけられないものを
本当に見つける事が出来るのかい?」
ナレーション
「今日の猫は笑いました。」
今日の猫
「君は、おかしなことを言うね。
途方もないものを見つけるからこそ冒険なんじゃないか」
ナレーション
「明日の猫はその言葉に心を打たれました。」
明日の猫
「たしかに!君の言うとおりだ!
途方もないものを見つけるから冒険!その通りだ!」
今日の猫
「クスの樹と約束をして僕は歩き出した。
しばらく歩いていると、大きな夕陽が見えてきた。
ああ、こんなにきれいな夕陽は見たことがないや・・僕が言うと・・・」
ナレーション
「そこで明日の猫は言いました。」
明日の猫
「少し、意地悪なことを言うけど。
まさか夕陽を見つけて冒険は終わりなんて言わないだろうね?」
今日の猫
「そんなことは言わないさ。なぜなら夕陽も困っていたんだから」
明日の猫
「君は夕陽とお話をしたのかい?」
ナレーション
「明日の猫は驚いた様子でした。」
今日の猫
「そうだね。とても長い間、僕は夕陽と話をしていたんだ。
ミツバチや、クスの樹の話を。
夕陽がまさに沈んでしまおうとする頃、夕陽は悲しそうに僕に言ったんだ」
夕陽
「私は忘れられる事が怖いのだ」
今日の猫
「どうしてそんな事をいうの?」
夕陽
「みんな私を見て、こんなにきれいは夕陽見たことがないと言う。
けれども私は私なのに・・・。
わたしは忘れられるのが悲しいのだ。
決して忘れらないものはないのだろうか?
私はそれを探しているのだ」
ナレーション
「今日の猫は言いました。」
今日の猫
「僕はあなたの事は忘れない。
忘れないけど、きっと明日も僕は、あなたの事を見て、今日と同じように。
ああ、こんなにきれいな夕陽は見たことがないや、
と言うと思う」
夕陽
「そうか。それは寂しい」
今日の猫
「忘れられないものを僕が探してみるよ!見つかったら会いに行くね。
僕はそう伝えると歩き始めた。
すっかり夜になって、周囲を見渡すと、星も月も輝いていて、
僕は、ああ綺麗な星空だなと、つい見とれていたら。
足元から声がしたんだ」
ナレーション
「そこで明日の猫は言いました。」
明日の猫
「君の話は脈略がないな。
だんだん意味が分からなくなってきたよ」
ナレーション
「すると今日の猫は言いました。」
今日の猫
「君は妙なことを言うね、世の中は意味が分からないことだらけじゃないか!」
明日の猫
「そう言えばそうだね。けれども、早くしないと明日が来てしまうよ!」
今日の猫
「君の言うとおりだ・・・・」
ナレーション
「しばらく今日の猫は考え込んでしまいました。」
◆配信中の華劇公演作品
「シャルロッテ」
ファレストとプライオスは敵対関係にあり、長い間争いを続けていた。そんな中、ファレスト王バプティスと、プライオス王の弟レオンは、密かに親交を交わしていた。ある日、バプティス王との謁見後、帰途でレオンは、ある人物に呼び止められる。その人物とは、ファレストの王子シュリオだった…。
再生ページへ
「仁義なきにゃんけん」
満月の夜には、猫たちが互いの縄張りをかけた真剣勝負、「にゃんけん」を行うという。今宵もまた、満月。猫たちが集まる空き地にて、三毛猫組とニャーク団による一騎打ちが行われようとしていた―。
再生ページへ
「フレンズ」
ある夏の日、亮平はバスケ部の友人達と夏祭りに出かけていた。そこで同じ学校に通う賢一と出会い、言い争いを始めてしまう。そこに突然、鈴鹿という女の子が現れて―。
再生ページへ
「クリスマス キャロル」
スクルージ・キャロルは、偏屈な上に堅物、ケチで傲慢な金の亡者。庭師のティムが娘のルーシィに思いを寄せていることが気に食わず、クリスマスパーティの前日、ある計画をを思いつく―。
再生ページへ
「せをはやみ(ビター)」
天馬学園に通う女子高生 安藤春菜は、昼休みのまどろみの中、不思議な夢を見る。夢の中、心に語りかけてくるその声は自分を第六天魔王と名乗った。戦国時代に愛を誓った二人の、時代を超えた歴史転生ファンタジー! (キャスト:ビターチーム)
再生ページへ
「せをはやみ(ハニー)」
天馬学園に通う女子高生 安藤春菜は、昼休みのまどろみの中、不思議な夢を見る。夢の中、心に語りかけてくるその声は自分を第六天魔王と名乗った。戦国時代に愛を誓った二人の、時代を超えた歴史転生ファンタジー! (キャスト:ハニーチーム)
再生ページへ
◆配信中のラジオシアター作品
「雨月物語 菊花の約」
丈部左門は友人の家で病気で倒れている行きずりの武士、赤穴を見かける。左門は赤穴を看病し、その甲斐あって彼は日に日に良くなっていき…
再生ページへ
「仁義なきにゃんけん 代理戦争篇」
満月のたびに三毛猫組とニャーク団の縄張り争いの方法は、『にゃんけん』と呼ばれ、勝負のたびに引き分けを繰り返していた。
再生ページへ
「雨月物語 吉備津の釜」
豪農の息子、正太郎はは吉備津神社の神主の娘、磯良と出会い、二人は互いに惹かれあうようになる。しかし、二人の将来を占ったところ、思わしくない結果が出てしまう。
再生ページへ
「今日の猫 明日の猫」
身ぎれいな明日の猫と、少し汚れている今日の猫。二人の猫の会話は取り留めもなく続いていく…
再生ページへ
「ジュリオの結婚」
平凡で貧乏な男ジュリオは、長年想い続けていた大金持ちの娘カーラと結婚をし、幸せを噛み締めていた。しかし、そんなジュリオに一通の手紙が届く…
再生ページへ
「シンデレラ」
シンデレラは、継母とその連れ子である姉にいじめられていました。継母達の言いつけを守り、家事をしていると…?
再生ページへ
「プチ・プランス」
飛行機でサハラ砂漠に不時着し、故障してしまった飛行機を直していたぼく。すると、少し変わった服を着た少年がぼくに声をかけてきた。
再生ページへ
「注文の多い料理店」
今回のお話は、宮沢賢治の児童文学を華劇風にアレンジした作品です。狩りのために、とある山に訪れた兄弟…。彼らは一体どうなってしまうのか。
再生ページへ
「アリババと砂漠の盗賊」
今回のお話は、言わずとしれた物語「アリババと40人の盗賊」を、華劇風にアレンジした作品です。さて、今回はいったいどんな展開になるのか。
再生ページへ