華劇「今日の猫 明日の猫」後編
【あらすじ】
お花、消えないもの、忘れられないものを探す冒険に出た今日の猫。
遂に夜になってしまう。
今日の猫の冒険の結末はいかに?
【登場人物】
今日の猫:桟木樹子(CV後藤沙緒里)
明日の猫:常盤薫(CV代永翼)
ナレーション:桟木樹子(CV後藤沙緒里)
蟻さん:常盤薫(CV代永翼)
ナレーション
「しばらく今日の猫は考え込んでいましたが、
明日の猫は早く話が聞きたくて遂に口を開きました。」
明日の猫
「いったい、足元から声がしてどうなったんだい」
ナレーション
「今日の猫はふと我に返りました。」
今日の猫
「そうだった!足元には蟻が居たんだ!」
蟻さん
「上ばかり見て、君はどこに行こうとしてるんだい?」
今日の猫
「僕は・・・・
お花と消えないものと忘れられないものを探していたんだけど・・・・」
蟻さん
「そうなのか・・・それで、何か見つかったのかな?」
今日の猫
「ううん。何も見つからなかった」
蟻さん
「おや、おかしいのう、あそこにもここにもきれいなお花は咲いておるのに」
今日の猫
「本当だ!気が付かなかった!
蟻さんは、こんなに夜になるまで、何をしているの?」
蟻さん
「食べ物を探しているのじゃよ。
毎日毎日、食べ物を探しているのじゃよ」
今日の猫
「そんな毎日楽しいの?」
蟻さん
「うーむ、時には疲れるが楽しいものさ」
今日の猫
「僕は毎日毎日、働きたくないよ」
蟻さん
「食べ物は無くなるものじゃからの。仕方がないのじゃよ」
今日の猫
「蟻さんは何が楽しくて働いているの?」
蟻さん
「うーむ。わからんのぅ」
今日の猫
「蟻さん、蟻さんは消えてしまったり、忘れられることは怖くないの?」
蟻さん
「そんなこと考えもしなかったのぅ。わからんのぅ」
今日の猫
「どうして?」
蟻さん
「わしは、楽しい事や良い事は覚えておきたいし、
いやなことは忘れたいし、悲しい事は消してしまいたいからのぅ」
今日の猫
「蟻さん、どうすれば蟻さんのようになれるかな?」
蟻さん
「さぁ、のぅ・・・わすれたわい」
今日の猫
「・・・・・。蟻さんはいいね」
蟻さん
「そうかのぅ。わしには何がいいのか悪いのかわかりゃせんのだが」
今日の猫
「蟻さん、僕が、僕の事を忘れないでと言えば蟻さんは覚えていてくれる?」
蟻さん
「それもわかりゃせん。
だから、代わりに、おぬしがわしの事を覚えておいてくれんか?」
今日の猫
「うん。きっと忘れない」
蟻さん
「忘れていいんじゃよ」
今日の猫
「絶対忘れないよ!」
蟻さん
「いいんじゃよ」
今日の猫
「蟻さん。もし探しているものが見つかったら、また会ってくれる?」
蟻さん
「うーむ、わからんのぅ」
今日の猫
「蟻さんはわからないものだらけだね」
蟻さん
「そうじゃなー。わしにはわからないものだらけじゃ」
今日の猫
「蟻さん、分からないことはどうしたらいいのかな?」
蟻さん
「わからんのぅ。あははははは」
今日の猫
「あははははは」
ナレーション
「二人は思わず笑ってしまいました。」
今日の猫
「蟻さん、本当にわからないものだらけだね」
蟻さん
「そうじゃな、わからんものだらけじゃ。」
今日の猫
「けれど、僕は、今日、蟻さんと一緒に笑ったこと、忘れないと思う」
蟻さん
「さて、そろそろ疲れたわい。うちに帰ろうかのぅ」
今日の猫
「さようなら、蟻さん」
蟻さん
「さようなら」
今日の猫
「僕は蟻とお別れをしたんだ」
明日の猫
「なんてひどいやつなんだ!」
ナレーション
「突然、明日の猫は叫びました!けれども、今日の猫は驚きませんでした。」
今日の猫
「そんなにひどい事なのかな?」
明日の猫
「ひどいよ!蟻さんのように思える方法を教えてくれないだけじゃなくて、
会ったことを忘れてもいいなんて!」
今日の猫
「だって、しょうがないじゃないか。忘れてしまう事もあるんだもの」
明日の猫
「僕は忘れられたくない!」
今日の猫
「僕はみんなと出会って思ったんだ。
僕にはわからないものや、見つからない事が沢山あるんだなって」
明日の猫
「けれど!そこでさよならなんて!蟻さんはずるい!」
今日の猫
「『さようなら』を、僕はさようならを素直に言えるようになったんだ」
明日の猫
「僕は、さよならなんて言いたくないよ!
何もかも全部!
僕は変わって欲しくないし、無くしたくないんだ!」
今日の猫
「それにわからないものや見つからないものがあるから冒険出来るんだよ」
明日の猫
「だからって!そんな!」
今日の猫
「君はなんてきれいなんだろうか。君はなんて美しいのだろうか」
明日の猫
「僕には綺麗な服も、おいしい食べ物もある!
そうだ!うちに遊びに来ないか!
豪邸なんだぜ!そこには珍しいものが沢山あるんだ!
アイスクリームだけじゃない!おいしいものも沢山!」
今日の猫
「欲しくなったら、きっと自分で買いに行くよ」
明日の猫
「そうだ!大人になる方法も知っている!それに・・・」
ナレーション
「明日の猫はとうとう泣き出しました。」
明日の猫
「僕は君が知らないもの、欲しいものを全部、プレゼントすることもできる!だから!」
今日の猫
「答えは、僕が自分で見つけるよ」
明日の猫
「・・・・・そ!そんな!」
今日の猫
「大人になると言う事は、きっとさよならが言えるようになることだと思う」
明日の猫
「僕らはもうお別れなのかい?」
今日の猫
「君の事は忘れない」
明日の猫
「僕も君の事は忘れない」
今日の猫
「ありがとう。さようなら」
ナレーション
「さよならが告げられると、明日の猫は今日の猫の姿に変わりました。」
明日の猫
「君はすごい冒険をしたんだね!」
今日の猫
「そうさ!僕は冒険をしたんだ」
今日の猫
「さようなら今までの僕。さようなら明日の僕」
ナレーション
「今日の猫は鏡の前に立ってそうつぶやいたのでした。」
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