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#1 #2 #3

華劇公演「クリスマス キャロル」

【あらすじ】
クリスマスパーティでルーシィの結婚相手を選ぶと決めたスクルージ。金持ちと結婚すればルーシィは幸せになれると信じて疑わないスクルージの元へ、時の精霊と名乗る人物が現れてー

【登場人物】
・スクルージ・キャロル:衛守祭(CV松野太紀)
・ルーシィ・キャロル:衣川祥子(CV津田美波)
・ティム:松浦彼方(CV羽多野渉)
・マリア・キャロル:桟木樹子(CV後藤沙緒里)
・クララ:神楽千秋(CV進藤尚美)
・時の精霊:滑川龍(CV柿原徹也)
・少女ルーシィ:岨野小町(CV加藤英美里)
・少年ティム:常盤薫(CV代永翼)
・アルベルト:初生谷浩史(CV野島健児)
・ジョナサン:古畑和慶(CV三宅健太)
・イグナス:古畑和慶(CV三宅健太)
・ローラ:成瀬修子(CV洲崎綾)
・メアリ:紗隈かすみ

●シーン7「遠い昔」
-場所:スクルージの昔の家

スクルージ
「うん?なんなのだ、この扉は?」

時の精霊
「見覚えがありませんか?」

スクルージ
「これは…昔住んでいた家の扉ではないか?」

時の精霊
「その通りです。扉を開けてごらんなさい」

スクルージ
「?…なんだと言うのだ…」


-クラッカーが弾ける音

アルベルト
「おめでとう!スクルージ!」

ジョナサン
「なんだよ!お前が我らがマドンナ、マリアと結婚するなんてひどい話だぜ!」

スクルージ
「ありがとう!親友が祝ってくれて俺は嬉しいよ!結婚式らしいことが出来ないのが残念だが…」

アルベルト
「何言っているんだ!今日は七面鳥があるじゃないか!十分、贅沢だぜ!な?ジョナサン!」

ジョナサン
「そうだ!そうだ!俺は嬉しいぞー!嬉しいぞー!!!」

マリア
「うふふ。騒ぎ過ぎないね」

アルベルト
「何を言ってるんだ!今日は嬉しい日じゃないか!美味しいものを食べて叫びまくろう!!」

クララ
「近所迷惑です!…あなた!いい加減にして!」

アルベルト
「…そ、そんな怖い顔するなよ、クララ、な?可愛い顔が台無しだぞ!」

クララ
「ちょっと、もう!あなたはいつもそうなんだから。とにかく、騒いではダメよ!」

ジョナサン
「あーっ!あーっ!あーっ!もーう!やってられない!やってられない!誰か俺と結婚してくれー!」

スクルージ
「あはははは!ジョナサン!遂に独身はお前だけになったな!」

アルベルト
「本当だ!よっ!頑張れよ!」

クララ
「本当にもう!落ち着きのない人たちだこと!子供みたい!」

スクルージ
「言ったな、クララ」

クララ
「あら、聞こえたかしら?地獄耳ね」

マリア
「ごほっごほっ!」

-マリアの元に駆け寄るスクルージ

スクルージ
「マリア!大丈夫か!」

クララ
「ねぇ、マリア。大丈夫?あなた病気なんだから。そろそろ部屋に戻りましょうか?」

マリア
「いいえ。今日はみんなの顔を見ていたいの。それより、クララ、お願いがあるの」

クララ
「どうしたの?今日はあなたのお祝いの日なのよ、何でも言ってちょうだい!」

-マリアとクララ 少し移動

マリア
「ありがとう、クララ。もし私に何かあったら…」

クララ
「ストップ!またその話?もう、めっ!マリア!今日はそんなことは考えないの!」

マリア
「…そうだったわね。今日は私たちの結婚式だものね…でも、私…」

ジョナサン
「こんな事を言うのもなんだけどな、スクルージ。病気のマリアを妻に迎えるお前を俺は尊敬しているんだ」

アルベルト
「そうだ!そうだ!お前がどうなってもな!お前への尊敬と友情は…うぐっ…気持ち悪い」


時の精霊
「(客席に向かって)これは、スクルージとマリアの結婚式の記憶…とても幸せそうな…まさに青春の1ページ!」

スクルージ
「お…お前は誰に向かって話しているのだ?

 し、しかしなんと呑気な…。みんな貧乏だったが、楽しかったな。はははははは」

時の精霊
「(客席に向かって)そうですね。今のスクルージとはまるで別人…。

 そう思いませんか?みなさん!」

スクルージ
「こら、私を無視するな!…お前は一体何なのだ?」

時の精霊
「これは失礼。さて…お次はこちらをご覧ください」

-時の精霊 指を鳴らす


●シーン8「小さな約束」
-場所:公園

スクルージ
「おお!マリアにルーシィではないか!この頃からルーシィは可愛かったな」


少年ティム
「ルーシィ!ルーシィ!」(遠くで声がする)

少女ルーシィ
「ああ!ティムだ!ティムがいるよ!」

マリア
「ルーシィ、あまり走ってはいけませんよ」

少女ルーシィ
「はーい、ママ!ティムー!ティムー!!」

-走りながら躓いて転びそうになるルーシィ

クララ
「あ、危ない!」

少年ティム
「ルーシィ!」

-転びそうなルーシィをティムが抱きとめる

少年ティム
「だ、だいじょうぶ?」

少女ルーシィ
「ティム、助けてくれてありがとう」

-カットイン ティムがルーシィを抱きかかえて、マリアにルーシィを守ると言っている様子


マリア
「もぅ、だから走ったらダメだって言ったじゃないの!ティムが助けてくれなかったら、転んでケガしていたわよ!

 ティム、ありがとね」

少女ルーシィ
「ごめんなさい、ママ。」

少年ティム
「だいじょうぶだよ、おばちゃん!ルーシィは僕が守るから!」

マリア
「ありがとう、ティム、頼もしいわ!」

クララ
「もう、この子ったら…」

マリア
「いいじゃない!ルーシィ、よかったわね!」

少女ルーシィ
「うん!ルーシィね、大きくなったらティムのお嫁さんになるんだ!」

クララ
「あらあら…」(マリアと一緒にクスクス笑う)

マリア
「うふふ」(クララと一緒にクスクス笑う)


♪「僕がパパで 君がママさ」
 (Jingle Belles)
 歌:少年ティム、少女ルーシィ

 僕がパパで 君がママさ
 二人は幸せさ どこまでも

 どこにいても あなたがいる
 それだけで私 嬉しくなる

 いつまでも 僕は君を
 守ると決めたよ いつまでも

 ね!

 いつまでも あなたの
 傍にいたいと 願うのです

 ティムとルーシィ 結婚する

 忘れはしない 約束だよ

 二人はいつも 離れずに
 愛を誓って 暮らすのでした

 いつまでも 僕は君を
 守ると決めたよ いつまでも

 ね!

 いつまでも あなたの
 傍にいたいと 願うのです


マリア
「この子たちったら…」

クララ
「ほんと、おませさんね…

(マリアを見て)どうしたの?具合でも悪い?」

マリア
「ううん…」(二人の将来を見届けられないと寂しく思っている)


時の精霊
「これは幼きころのルーシィとティムの約束でございます」

スクルージ
「ふんっ!こんなもの、子ども同士のたわ言じゃないか!こんなものを見せて、お前は何がしたいのだ?」

時の精霊
「子どもの頃の誓いを、今も忘れずに育んでいるとは…二人の恋は正に純粋そのもの!その想いは、フォーエバー!!永・遠!」

スクルージ
「おい!質問に答えんか!それに、フォーエバーと永遠は、同じ意味ではないか?」

時の精霊
「そして、時を現在に戻しましょう」

-時の精霊 指を鳴らす

スクルージ
「俺を無視するなー!」


●シーン9「祈り」
-場所:アルベルトとクララの家

スクルージ
「うん?ここは…クララの家ではないか?」

時の精霊
「窓を覗いてごらんなさい」


クララ
「神様。今日も、温かいスープとパンを頂く事が出来ました。本当にありがとうございます。

 今日は、特別なお願いがあります。明日、私が母親代わりと思って見守ってきた、親友マリアの大事な娘、ルーシィが結婚します。

 どうか、ルーシィの相手が誠実で優しい方であります様、よろしくお導きください…」

アルベルト
「クララ。本当に良いのか?」

クララ
「私はルーシィが幸せになるなら、それで良いのです」

アルベルト
「果たして、マリアもそれを願っているのだろうか?」

クララ
「あなた、それは言わないで下さい。私に出来るのは、祈ることだけなのですから」


スクルージ
「マリアが病死してから、母親代わりとして立派にルーシィを育ててくれたのは、クララだったな。

 こんなにもマリアと娘の事を想ってくれていたとは…。

 クララには、明日、何かちゃんとした感謝をしなければいけないな…」

-時の精霊 指を鳴らす

-場所:屋敷の庭

時の精霊
「さて、こちらも現在。別の場所でございます」

スクルージ
「あいつは何をやっているのだ?庭の手入れは終わっているようだが…」

ティム
「明日はせめて僕が作ったブーケを持って貰うんだ…ルーシィ…」

スクルージ
「ブーケはもう他で注文している!無駄なことを」

ティム
「あっ!もうこんな時間!遅くなってしまったけど、行かなくちゃ!」

スクルージ
「もしや、こいつ、ルーシィのところへ?!」

-ティム 退場

-場所:教会

ティム
「まだ、開いているかな」

-ティム 教会のドアを開けて中へ入る

スクルージ
「うん?ここは教会ではないか」

ティム
「神様。明日、私の愛するルーシィの、婚約者が決まります。

 そこで、どうしてもお願いしておきたいことがあります」

スクルージ
「こいつ、自分とルーシィが結ばれるよう、神に祈るつもりかっ!なんと罰当たりな!」

時の精霊
「しっ!神の御前ですよ。お静かに」

-カットイン 祈りを捧げるティム


ティム
「どうか、大切なルーシィが、幸せな結婚が出来ますよう。どうか、相手の方が、誠実で堅実な方でありますよう。

もし、ルーシィが幸せな結婚が出来るのであれば、愛するルーシィの記憶を奪われても構いません。命をささげても構いません。

どうか、お願いいたします。お願いいたします」


スクルージ
「お前が祈らずともルーシィは幸せになる!何の問題もない!だが、なかなか感心なことだ。」

時の精霊
「さて、皆様、私のご案内は以上になります」

スクルージ
「ルーシィは、こんなにも皆に想われて、本当に幸せ者だな」

時の精霊
「その様ですね。しかし、ルーシィは、その皆さんと離れ離れになるのです」

スクルージ
「当然だ!ルーシィは金に不自由することなく暮らすのだからな!」

時の精霊
「お金があるから、幸せなのでしょうか?そうでしょうか?

 皆さんはどう思いますか?」

スクルージ「…ふんっ!何を言うか!」

時の精霊
「私には、あなたが貧しい時の方が、随分と幸せそうに見えましたが…」

スクルージ
「だまれ!誰が何と言おうと、私は絶対に正しいのだ!

 ルーシィは必ず幸せになる!そう決まっている!」

時の精霊
「本当にそれで、よろしいのですね?」

スクルージ
「私は間違っていない!」


●シーン10「命の部屋」
-場所:命の部屋
-真っ暗な中、スクルージがおろおろと歩き回る

スクルージ
「なんだ?ここはどこだ?真っ暗で何も見えないぞ!」

-灯かりが点りはじめる

スクルージ
「うん?あ、あれはなんだ?…炎?」

-スクルージ 灯かりに向かって歩く

スクルージ
「おい、精霊!どこにいる?」

時の精霊
「ここにいますよ。ご案内しましょう。さぁ、こちらの部屋にどうぞ」

スクルージ
「ここは…?」

時の精霊
「命の部屋です」

スクルージ
「命の部屋?なんだ、それは!

 しかも、これは…この無数のキャンドルはなんだ?」

時の精霊
「このキャンドルの炎は、命の炎。

 新たな命が誕生すると、新たなキャンドルに火が点り、命が神に召されるとき、このキャンドルの炎が消えるのです」

スクルージ
「デタラメを言うな!こ、これが、何だと言うのだ…!」

-スクルージ 驚く
-カットイン キャンドル


スクルージ
「こ、この火の消えたキャンドル…

 マ、マリア!!マリアと書いてあるぞ!」

時の精霊
「それは、あなたの妻、マリアのキャンドルでした。

 スクルージ、その隣のキャンドルをご覧なさい」

スクルージ
「うん?なんじゃ、なんだか、今にも消えてしまいそうなキャンドルだな?」

時の精霊
「良くご覧ください」

スクルージ
「…こ、このキャンドル、ルーシィと書かれているぞ!」

時の精霊
「そうです。この、今にも消えそうなキャンドルの炎は、あなたの娘、ルーシィの命です」

スクルージ
「な、なんという事だ!これは、どういう事なんだ?」

時の精霊
「それを知ったとして、あなたは、どうなさるおつもりですか?」

スクルージ
「ルーシィが助かるのであれば、私は何でもする!教えてくれ、精霊よ!」

時の精霊
「スクルージ。ルーシィのキャンドルが、なぜ消えてしまいそうなのか、その理由がお分かりですか?」

スクルージ
「時の精霊よ!何が言いたいのだ?私は知らない!一体どうなっているのだ!」

時の精霊
「では、特別に近い未来のクリスマスの様子をお見せいたします」

-時の精霊 指を鳴らす


●シーン11「未来」
-場所・・マリアの部屋

スクルージ
「おおっ!これは!マリアの部屋ではないか!

 な、何をしようと言うのだ?」

時の精霊
「静かにお見守り下さい」

スクルージ
「あ、あそこに、ルーシィがいるぞ」

-机で日記を書いているルーシィ

ルーシィ
「……」

スクルージ
「なんだ?何を書いているのだ?」


-ルーシィの回想

イグナス
「おいっ!ルーシィ!酒だっ!酒を持ってこい!」

ルーシィ
「はい、ただいま」

イグナス
「おい!こんな不味いものを持ってくるとは、一体どういうつもりだ!まるで泥水だ!」

-グラスが割れる音。

ルーシィ
「こ、これは、父が送ってくれた…」

イグナス
「黙れ!言い訳をするな!下がれ!お前の顔など見たくない!」

ルーシィ
「…イグナス様、どうして私とご結婚されたのですか?私の事を愛して下さったのではないのでしょうか?」

イグナス
「愛?愛だと?あっははは!そんなもの、何になる!

 お前の親父には金がある!それ以外に、何の理由があるのだ!」

ルーシィ
「そ、そんな…ひどい」

イグナス
「黙れっ!そんな目で俺を見るな!」

-ルーシィにビンタする

イグナス
「ん?なんだ?この写真は?」

ルーシィ
「…か、家族の写真です」

イグナス
「なぜ使用人まで写っているのだ?うん?」

ルーシィ
「母の親友と、幼馴染です…」

イグナス
「貴族の妻が、使用人と一緒に写った写真を大事に持っているとは…

 こんなもの!」

ルーシィ
「お返しください!写真を、写真をお返しください!」

-カットイン 破られた写真


-回想終了


ルーシィ  「私には…」

-ルーシィ 日記を書き終えて部屋を出て行く

スクルージ
「ルーシィのやつ、何を書いていたのだ?

 なになに?」

-スクルージ机の近くへ行き日記を見る
-カットイン 日記


スクルージ
「9月14日
 まだ夏が終わったばかりだと言うのに、急に肌寒くなりました。

 旦那様は今日も帰られないそうです。」

ルーシィの声
「10月1日
 イグナス様が酷くお酒に酔って、ご帰宅されました。

 久しぶりにお会いしたと言うのに、旦那様は私が気に入らないと空き瓶を投げつけました」

ルーシィの声
「11月21日
 今日もイグナス様のご機嫌が悪いようです。何をしても気に食わないと、その度に酷く怒られます。

 どうしたらよいか分からず、何もできません」

ルーシィの声
「12月23日
 イグナス様が、お父さまからいただいたお酒を粗末にし、父の努力を侮辱し、私の大事なものを破って捨ててしまいました。

 お母さま、私は、もう耐えられそうにありません。」

ルーシィの声
「12月24日
 ごめんなさい。お父さま、お母さま、クララ、ティム。

 私は、どうしても今の旦那様を愛することが出来ません。

 お父さま、お許しください。私は先にお母さまの元へ参ります。

 今度生まれ変わったら、ティムと…」

-場所:屋敷の庭

ルーシィ
「ティムがお世話してくれたクリスマスローズ…

 あなたは良いわね。ティムの愛情をいっぱいその身に受けて…

 ティム、ごめんなさい。私はもう、この孤独に耐えられない。

 …あなたの気持ち、嬉しかった。こんなことになるなら、あの時…

 せめて最期は、あなたの愛情がいっぱい込められたこの場所で…

 …さようなら、ティム」

-ルーシィ 倒れる


-ローラとメアリ 登場

メアリ
「今日もお庭が綺麗だわ!」

ローラ
「本当!ティムは最近、ますます腕を上げたわね」

-カットイン 倒れているルーシィ


メアリ
「あ!あれは…

 !?お嬢様?ルーシィ様?きゃああ!」

ローラ
「大変!大変だわ!

 クララ様!クララ様ー!」

-クララ 登場

クララ
「二人とも、何が起きたと言うのです?」

メアリ
「お嬢様が!お嬢様が!!」

-クララ 駆け寄る

クララ
「ああ!何という事でしょう!

 ルーシィ、ルーシィ様!」

メアリ
「ルーシィ様!ルーシィ様」

ローラ
「わ、私、スクルージ様をお呼びしてきます!」

-ローラ 走り去る


●シーン12「後悔」
スクルージ
「こ!これはどういう事なのだ?何が起こったと言うのだ?ルーシィは、なぜ?!」

時の精霊
「見ての通りです」

スクルージ
「ば!ばかな!ルーシィは、人も羨む大金持ちの名家に嫁ぐはずだ!

 こんなはずはない!こんな事ある訳がない!」

時の精霊
「自ら命を絶つほどに追い詰められて…可哀想なルーシィ。これは、あなたの傲慢が起こした結末ですよ。

 さて、スクルージ、あなたはどうされますか?この娘の運命はあなた次第です」

スクルージ
「そ!そんなバカな!こんな事になろうとは…俺はなんと、なんと罪深い事をしようとしていたのだ…。

 すまない、ルーシィ!」

時の精霊
「本当に、償いきれないほどに、罪深い事です」

スクルージ
「お前はどうして、どうして俺にこんなものを見せるのだ?お前は一体…」

時の精霊
「お心あたりはありませんか?」

スクルージ
「…ま、まさか!」

時の精霊
「さて?」

スクルージ
「…マリア!お前か!お前なのだな?」


-スクルージの回想
-場所:スクルージの昔の家

マリア
「ルーシィ、ここにおいで」

少女ルーシィ
「ママ!私はここにいるよ!」

マリア
「ルーシィ、ママがいなくなっても、パパのこと、よろしくね」

少女ルーシィ
「いやだ!そんなこと言わないで!」

クララ
「マリア!気の弱い事を言っちゃダメ!」

少女ルーシィ
「ママ―!」

マリア
「ルーシィ、心配しなくていいのよ。ママはね、いつもルーシィとパパの傍にいるからね。

 ママがいなくなってもね。パパと…クララと、大好きなティムと…手を取り合って…」

少女ルーシィ
「ママ!ママ!うわーん」

マリア
「泣いてばかりじゃだめ…ほら、可愛い笑顔を見せて。

 …クララ、あの人は…?」

クララ
「うう、マリア…スクルージは、お医者さまのところに、薬を…ようやく薬が買えるって
 …だから、もう少し頑張るのよ!」

マリア
「彼に、ありがとうと…」

クララ
「バカなこと言わないで!

 もう少しよ、もうすぐ彼が薬を持って帰ってくるから!そうしたら、病気も治るわ!

 だから、もう少し頑張るのよ!」

マリア
「ティム…」

少年ティム
「なに?おばちゃん(泣き声を殺しながら)」

マリア
「ルーシィの事を…お願い…」

少女ルーシィ
「ママ!嫌だ、ママ!」

マリア
「悲しい時は、あの時計をママと思って…祈るのです。

 必ずママが…ね…」

少女ルーシィ
「ママ!ママ!!!!」

マリア
「クラ…ラ、…私…幸せ…よ。

 ありが…とう……」

クララ
「マリア!マリア!」

-スクルージ 扉を開けて入ってくる

スクルージ
「マリア!マリア、喜べ!薬だ!薬が手に入ったぞ!!」

クララ
「スクルージ…。

 マリアはたった今…ううっ…」

ルーシィ・ティム
「うわーーーん」

スクルージ
「マリア!…っ。くそっ!俺に、金さえあれば…金さえあれば…」

-回想終了


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